企業の情報発信において、商品説明やサービス紹介、採用活動など多様な目的で動画が活用されています。こうした動画を外注する際に気になるのが「納期」ではないでしょうか。本記事では、動画制作における納期の目安から各工程の期間、そして納期を円滑に進めるポイントまでを解説します。
動画制作にかかる納期とは?
納期とは単なる制作工数だけでなく、目的や制作内容、動画の種類、社内調整といったさまざまな要素によって、実際のスケジュールは大きく変動します。
ここでは、納期を検討する上で押さえておきたい3つのポイントについて解説します。
1. 目的や制作内容によって大きく変動する
納期は、動画の目的や制作内容によって、大きく左右されます。例えば、動画の種類や企画内容、演出の複雑さ、出演者の人数、ロケーション、特殊効果の有無などによって、制作期間は変わってきます。
また納期は、依頼企業側の確認やフィードバック、修正依頼の回数、フィードバックのスピードも大きく影響します。スムーズに進行すれば、短期間で完成するケースでも、社内での確認や修正指示に時間がかかれば全体の納期は延びてしまいます。
2. 動画の種類による納期傾向
動画の種類によって、必要な工程や作業内容が異なるため、納期にも大きな違いが生じます。
たとえば、実写では、「撮影準備」「本番撮影」「編集」といった工程を経る必要があり、出演者やロケ地の調整、撮影日程の確保などに時間を要します。そのため、通常は1〜2ヵ月程度の制作期間がかかることが一般的です。
一方、アニメーション動画では、撮影工程が不要な分、構成の確定後は「イラスト・グラフィックの制作」「アニメーションの制作」という流れになります。シンプルなモーショングラフィックスであれば、2〜3週間程度で完成することもありますが、キャラクターアニメーションや複雑な動きを含む場合は、1〜2ヵ月程度かかる場合もあります。
納期を見積もる際は、制作したい動画の形式や表現の複雑さに応じたスケジュール設計が重要です。
3. 社内調整・承認フローが納期に大きく影響する
社内での確認フローが複雑であったり、決裁者が多かったりする場合、その分、納期は長くなります。特に、大企業や公共機関などでは複数の部署や役職者の承認が必要となることも多く、その調整に想定以上の時間がかかるケースがあります。
例えば、商品の説明動画制作時に、企画段階で営業・マーケティング・総務・法務の各部の承認が必要となる場合があります。各部署からの修正要望を反映しながら進めるため、当初予定の1ヶ月を大幅に超え、最終的には、2~3ヶ月近くかかってしまったということもあります。
工程ごとにかかる期間の目安
動画制作は、複数の工程を踏んで完成します。それぞれの工程で求められる準備や確認作業には、ある程度の時間がかかるため、納期全体の設計には各フェーズの所要期間を正確に把握しておくことが重要です。ここでは、主要な5つの工程と、その一般的な所要期間の目安をご紹介します。
フェーズ |
期間 |
1. 企画・構成 |
1〜2週間 |
2. 撮影準備 |
1〜2週間 |
3. 撮影 |
1〜3日+予備日 |
4. 編集・修正 |
1〜3週間 |
5. 最終確認・納品 |
数日〜1週間 |
1. 企画・構成
企画・構成フェーズは、動画制作の基盤となる工程です。この段階では、動画の目的やターゲット、伝えたいメッセージを明確にし、それをどのような表現で伝えるかを決めていきます。シナリオや絵コンテの作成もこの段階で行われます。
2. 撮影準備
撮影準備には、ロケーションの選定や出演者のキャスティング、機材、小道具の準備などが含まれます。事前準備を入念に行うことで、撮影当日からその後の制作までをスムーズに進行させることができます。
3. 撮影
撮影自体は通常1〜3日程度で完了します。ただし、出演者の急な体調不良や悪天候などの不測の事態に備えたり、撮影時の要望に臨機応変に対応するためのバッファとして予備日を設定する場合があります。
予備日の設定は必須ではありませんが、制作会社とあらかじめ予備日を設定しておくことで、追加撮影が必要になった場合でも当初の納期を維持できるリスクヘッジとなります。
4. 編集・修正
撮影した素材を編集し、一つの動画にまとめていく工程です。素材の選定・組み立て、色調整、テロップやグラフィックの追加、音楽や効果音の挿入などが行われます。編集完了後は制作会社内で品質チェックが行われます。
その後、制作会社から初版が提出され、企業側からのフィードバックを受けて修正を加え動画をブラッシュアップしていきます。
5. 最終確認・納品
編集後の動画の最終確認を行い、必要な調整を加えた後、ご要望に応じた納品形式で出力を行います。音量バランスなどの細かなチェックや、さまざまな配信媒体に応じたフォーマット変換が行われます。
納期を短くするためのポイント
納期をできるだけ短縮するためには、制作会社に依頼する前の段階からの準備と、制作進行における工夫が重要です。ここでは、スムーズな進行と無駄な遅延を防ぐために有効な4つのポイントをご紹介します。
1. 目的・用途を事前に明確にしておく
動画の目的と用途を明確にすることで、制作会社との打ち合わせがスムーズに進められます。動画の方向性も早く決めることができ、後工程での大幅な軌道修正を防げます。動画の目的、ターゲット、伝えたいメッセージ、使用予定のプラットフォーム、長さなどを事前に整理しておきましょう。
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動画の目的に関して詳しくは「【企業向け】動画制作の目的とは?目的設定の重要性と成果につながる考え方」をご覧ください。 |
2. 社内の承認ステップを明確にしておく
関係部署や決裁者をリストアップし、承認フローを明確化する、各段階での確認期限を設定する、重要な判断ポイントを明確にするなどの準備をしておきましょう。特に、動画が完成してから初めて確認する承認者がいる場合、承認が下りなかったり、構成からやり直しになったりする可能性があるため、段階的に確認を取る必要があります。
3. 制作会社との情報共有を具体的かつタイムリーに行う
制作会社とのコミュニケーションが納期短縮の鍵です。参考動画や企業のブランドガイドライン、使用したい素材などを早めに共有し、修正指示は具体的に伝えましょう。またフィードバックは抽象的ではなく具体的に行うことで差し戻しを最小限に抑えることができます。
4. 短納期に対応している制作会社を選ぶ
すぐに動画コンテンツが必要な場合は、短納期対応を得意とする制作会社を選ぶことも検討してください。問い合わせで短納期対応をしているか、制作会社の規模などを確認しましょう。スタッフが多い制作会社はこうしたニーズに対応しやすいです。
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動画の目的に関して詳しくは「【企業向け】動画制作を外注するなら|失敗しない選び方と成功のコツ 」をご覧ください。 |
納期が遅延する主な要因
適切な対応策を事前に講じることで、予定通りのスケジュールで進行することができます。ここでは、動画制作の納期が遅延しがちな、よくあるパターンとその対策について3つ解説します。
1. 社内での意思決定・確認プロセスの遅れ
納期に最も大きな影響を与える要素の一つが、社内での意思決定や確認プロセスの遅れです。関係部署や決裁者が多く意見調整に時間がかかる場合や、担当者の確認が遅れる場合などは、納期が延びる原因となります。
対策:事前に承認フローと期限を明確にしたスケジュール表を作成し、関係者全員と共有しておきましょう。重要な判断ポイントではミーティングを開くなど、認識のズレを防ぐ工夫も効果的です。
2. 準備の遅れ
撮影を伴う動画制作では、出演者のスケジュール調整がうまくいかない、撮影許可がすぐに取得できない、天候不良による撮影延期、必要素材の準備遅れなどが納期に影響します。
対策:出演者や撮影場所は早めに確保し、屋外撮影の場合は予備日を設定しておきましょう。また、必要な素材リストを事前に作成し、進捗管理を徹底することで遅れを防止できます。
3. 修正指示の曖昧さによる再作業
編集段階での修正回数の増加や、曖昧な修正指示による行き違いも納期遅延の原因となります。「なんとなく印象が暗い」といった具体性に欠ける指示や、担当者によって異なる修正指示が出ると、作業効率が下がります。
対策:修正指示は具体的かつ明確に伝え、可能な限り文書化しましょう。修正回数の制限を事前に設け、重要な変更は早い段階で行うことで後工程への影響を最小限に抑えられます。
また動画は「何分何秒から何分何秒までの●●を修正」という時間軸での指示が必要ですが、うまく伝わらず認識違いが生じやすい特徴があります。制作会社によってはFrame.io(動画に直接コメントを付けられる機能を持つサービス)といった共同作業ツールを導入して、具体的な修正箇所を視覚的に共有できる環境を提供している場合もあります。依頼時に、こうしたツールの活用可否を確認しておくことで、修正内容の伝達が明確になり、納期遅延のリスクを軽減できます。
動画の納期を理解して適切な社内体制を整えよう
動画制作の納期は単なる「完成予定日」ではなく、企画から納品までの全プロセスを計画的に進めるための指針です。本記事で紹介した各工程の期間目安や納期に影響する要素を理解し、効率的な制作進行を心がけましょう。
動画制作をご検討の際は、豊富な実績と専門知識を持つ当社にぜひご相談ください。動画制作だけでなく、完成までの制作プロセスから、今後の活用までワンストップでサポートいたします。
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