【企業向け】動画制作を内製化するには?成功のポイントや必要準備を解説

 2025.07.15  株式会社ヒューマンセントリックス

企業のマーケティング活動で動画コンテンツの需要が増える中、「外注ばかりでは予算がすぐに枯渇してしまう」「もっと手軽に、スピーディーに動画を作りたい」と考える担当者も多いのではないでしょうか。そこで注目されているのが「動画制作の内製化」です。本記事では、動画制作の内製化に関する基礎知識から成功のポイント、必要な準備までを幅広く解説します。これから内製化を検討している企業の方はもちろん、すでに取り組んでいるものの課題を感じている方にも役立つ内容となっています。

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動画制作の内製化とは?

動画制作の内製化とは、これまで外部の制作会社に依頼していた動画コンテンツを、自社内で制作することを指します。近年では動画編集ソフトやスマートフォンのカメラ性能の向上により、専門知識や高価な機材がなくても一定レベルの動画制作が可能になっています。
内製化の範囲は、企業によってさまざまで、企画と撮影は内製して編集は外注というケースもあれば、全工程を内製化するケースもあります。重要なのは、自社のリソースや目的に合わせた最適な形を見つけることです。

なぜ今、動画を内製化する企業が増えているのか

まずは、企業が動画制作を内製化する理由について、3つ解説します。

1. マーケティング環境の変化

近年デジタルマーケティングの進化により、短いサイクルで多様なコンテンツを発信することが求められるようになりました。特にSNSでは、タイムリーな情報発信が効果を高めるため、外注での制作では対応しきれないケースが増えています。

2. スピード重視・コスト最適化のニーズ

制作会社に外注すると、品質は高いものの、コストとリードタイムがかかる傾向があります。1本あたり数十万円〜数百万円の予算が必要となるため、内製化することで制作コストを大幅に削減できる可能性があります。

3. 社内体制の見直し

以前は、特別なプロモーション施策としての位置づけだった動画が、今ではWebサイト、SNS、メールマガジン、社内研修、顧客向け説明資料など、あらゆる場面で活用されるコンテンツとなりました。日常的に動画を制作するようになったため、社内で制作体制を整える企業が増えています。

動画制作を内製化するメリット

次に、動画制作を内製化するメリットを、3つ解説します。

1. 制作スピードの大幅な短縮

内製化の最大のメリットは、スピーディーに制作できる点です。制作会社へ外注すると、発注手続きや打ち合わせ、企画提案、確認、フィードバック、修正指示などのプロセスが発生しますが、内製化はこれらを簡略化できます。特に急を要する情報発信や、トレンドに合わせた発信を行いたい場合、スピード感は大きな武器となります。

2. 費用対効果が高い

外部制作会社に依頼する場合、1本あたり数十万円〜数百万円のコストがかかりますが、内製化することで人件費と機材費のみに抑えることが可能です。特に継続的に多数の動画を制作する必要がある場合、大幅なコスト削減につながります。
初期投資として、カメラや編集機材、ソフトウェアの購入費用はかかりますが、継続的に制作をすることで、投資額の回収計画が立てやすくなります。

3. 柔軟な対応ができる

急な修正や追加要望、方向性の変更など、社内のさまざまな要請にも柔軟に素早く対応できます。また、社外秘情報を含む内容でも、社内制作なら安心して取り扱えます。

内製化のデメリットとリスク

次に、内製化のデメリットとリスクを、3つ解説します。

1. クオリティの担保が難しい

内製化の最大のデメリットは、プロの制作会社に比べてクオリティが下がる可能性がある点です。特に技術面(撮影技術、編集技術、音声処理など)やクリエイティブ面(演出、構成、デザインなど)での専門知識が不足すると、企業イメージを低下させるリスクがあります。技術的な粗さや演出の単調さが目立つと、視聴者は無意識のうちに「手作り感」を感じ取り、コンテンツの価値や信頼性を低く評価してしまうことも少なくありません。

2. 業務負担の増加とノウハウ不足

動画制作は、想像以上に工数がかかる作業です。企画、撮影準備、撮影、素材整理、編集、音声調整、字幕作成、レビュー対応など、多くの工程を経て完成します。これらの作業を本来の業務に加えて行う場合、担当者は、大きな負荷となります。
また、動画制作のノウハウがない状態でスタートすると、非効率な作業や失敗による手戻りが発生し、想定以上の時間とコストがかかってしまう場合もあります。

3. 客観性やユーザー視点の欠如

社内だけで制作を完結させると、視聴者目線が欠如するリスクがあります。専門用語の多用や、説明不足、そもそも視聴者が知りたい情報と乖離した内容になるといった問題が生じることもあるため注意が必要です。

内製化に向いている企業・向いていない企業

企業の特性やニーズによって、内製化の向き不向きがあります。

内製化が向いている企業の特徴

内製化に成功している企業には共通点があります。まず、定期的に多数の動画を制作する必要がある企業です。例えばECサイトを運営しており多数の商品紹介動画が必要な企業や、SNSでの情報発信を頻繁に行う企業などが該当します。
次に、社内にクリエイティブ人材がいる、または育成する意欲がある企業も内製化に向いています。
また、俊敏性や独自性を重視する企業文化を持つ企業も内製化との相性が良いです。スタートアップのように「まずは完璧でなくても試してみる」という文化がある企業では、クオリティよりもスピードや量を重視した内製化が功を奏することが多いです。

内製化がうまくいかないパターンとその要因

逆に、内製化がうまくいかないパターンもあります。洗練されたブランドイメージを持たれている企業や、高品質なコンテンツにこだわる企業では、内製化によるクオリティ低下がブランド価値を損ねるリスクがあります。
また、社内リソースがひっ迫している企業や、多忙な少数精鋭のチームでは、動画制作の負荷が既存業務を圧迫してしまうケースも多いです。「とにかく内製化すればコストが下がる」という動機だけで取り組むと失敗するリスクが高まります。

動画制作を内製化するために必要な準備

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内製化を成功させるためには、適切な準備が不可欠です。ここでは、特に重要な4つの準備について解説します。

1. 必要なスキル習得と体制づくり

内製化に必要なスキルは、主に企画力、撮影技術、編集技術の3つです。すべてを一人で担当することは、負担が大きいため、チームで役割分担するのが良いでしょう。企画力は、マーケティング担当者が行うと関連部署との連携も行えます。
体制づくりでは、はじめは兼務体制からスタートし、動画本数の増加に応じて専任を配置する企業も多いようです。

2. 撮影・編集環境の整備

内製化には、機材とソフトウェアの準備が必要です。最初から高価な機材を揃える必要はなく、スマートフォンの高性能カメラでも十分です。ただし、照明、三脚、外部マイクは、用意することをお勧めします。画質が悪く音声が聞こえにくいと視聴者の印象が大きく下がるためです。
編集ソフトウェアは、Adobe Premiere ProFinal Cut Proなどのプロ仕様のものから、初心者向けのフリーソフトまでさまざまなレベルのものがあります。最初は使いやすさを重視して選び、スキルに合わせてアップグレードしていくのが良いでしょう。

3. 社内向け制作フローの設計と運用

効率的に内製化するには、社内の制作フローとチェック体制を整備することが重要です。一般的なフローは次の手順で進行します。
「企画立案・承認」「撮影/素材準備」「仮編集・内部レビュー」「本編集」「承認」「完成・公開」
特にレビューや承認プロセスは部署間の認識の違いや優先度の相違から調整が難航するケースがあるため、事前に確認期間やチェック項目などのルールを設定し、関係者との合意を取ると良いでしょう。動画の種類によって承認フローを簡略化するといった運用も効果的です。

4. 社内人材の育成方法とトレーニング

内製化の成否を左右するのが、社内人材の育成です。効果的な育成方法としては、外部研修への参加やオンライン学習の活用、動画制作会社への発注などを通して、ノウハウを学ぶなどがあります。育成には時間がかかるため、短期的な成果を求めすぎず、長期的な視点で取り組むことが大切です。

動画制作を成功させるポイント

内製化を進める上で、特に押さえておきたい成功のポイントを、2つ解説します。

1. 目的に応じた体制の見極めが重要

動画制作の内製化において最も重要なのは、制作する動画の目的や種類に応じて最適な体制を見極めることです。すべての動画を同じレベルで制作しようとすると、リソースの無駄遣いになってしまいます。
例えば、SNS向けの頻繁に更新する動画は「量産型」として簡易的な制作体制で、企業ブランディング用の重要動画は「特別体制」として高クオリティを目指すなど、メリハリをつけることが大切です。

2. 内製・外注のバランスが成功のカギ

成功している企業の多くは、「完全内製化」ではなく「部分的内製化」や「内製と外注のハイブリッド」を選択しています。それぞれの長所を活かし、短所を補い合う形が理想的です。
例えば、企画と素材準備は社内で行い、撮影と編集は外注する「企画内製型」や、撮影まで社内で行い編集のみ外注する「編集外注型」など、さまざまなバリエーションがあります。
特に効果的なのが、重要度や難易度に応じて内製と外注を使い分ける方法です。また、最初は外部のプロから学びながら制作し、徐々に内製化の比率を高めていくという段階的アプローチも効果的です。

【関連記事】
 動画の外注に関して詳しくは「【企業向け】動画制作を外注するなら|失敗しない選び方と成功のコツ 」もご覧ください。 

自社にとって最適な動画制作の進め方を考える

動画制作の内製化は、コスト削減やスピードアップなど多くのメリットがある一方で、クオリティの担保や社内負荷の増加といった課題もあります。大切なのは、内製化すること自体が目的ではなく、自社のマーケティング活動や情報発信を効果的に行うための手段であることを忘れないことです。
まずは、自社の状況(予算、リソース、必要な動画の量と質)を客観的に分析し、内製化の範囲や方法を決定しましょう。いきなりすべてを内製化するのではなく、段階的に進めていくアプローチが失敗リスクを減らします。
また、内製と外注を固定的に考えるのではなく、状況に応じて柔軟に組み合わせることも重要です。動画の種類や目的によって最適な制作方法は異なります。
動画制作の内製化をご検討の際は、内製化支援のSPOサービスも展開している当社にぜひご相談ください。

SPOとは、 "Studio Process Outsourcing" の略語で、お客様のオフィスにある会議室、空きスペースにスタジオを作り弊社のスタッフを派遣し、常駐することで、大量の撮影、配信、制作のニーズに対し柔軟な請負体制を実現し、低価格かつ短納期で、対応できるサービスになります。


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