今さら聞けないVR動画とは?その効果を解説

 2019.10.09  2023.07.31

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VR技術が進歩する中、ビジネスにVR動画を活用するケースが増えています。VRとは「Virtual Reality(バーチャル・リアリティ)」の略であり、日本語では「仮想現実」といいます。要するに、VRヘッドセットを使用した仮想空間の中に入り込むことで、現実世界では実現不可能な事象を体験するためのものです。VRゲームなどがその代表例です。

VR技術を動画ビジネスに取り入れると何が起きるのか?本稿ではVR動画の基礎知識と、その効果について解説します。

Young Woman feeling shocking for using the virtual reality device

VR動画とは?

それでは改めて、VR動画の基礎知識を解説していきます。基本的にはVR専用のヘッドセットを頭に装着することで、目の前にあるディスプレイに移った仮想現実世界に入り込んだように錯覚させるのがVR技術です。

たとえばマリオカートのようなゲームを想像してみましょう。プレイヤーは画面に映ったキャラクターを操作し、様々なコースを走って他のプレイヤーと順位を競います。画面に映った映像は3D技術によって臨場感やスピード感を味わえますが、あくまで「キャラクターを操作している」という前提から、自分自身がその臨場感やスピード感を体感することはできません。

一方、VR技術を用いたゲームではプレイヤー自身がゲームの世界に入り込み(仮想的に)、マシンを操作している躍動感や視界を高速に流れていく街並みのスピード感、そして他プレイヤーと競い合っている臨場感を体感することができます。もちろん、ハンドルを握った感触やエンジンの匂いなどを体感することはできないため、あくまで視覚的に錯覚させているに過ぎませんが、それでも通常のゲームと比べて圧倒的体験を得ることができます。

この技術を動画ビジネスに取り入れたのがVR動画です。視聴者は動画の世界の中に入り込んだような体験ができ、その世界観を全身で味わることができるため、通常の動画コンテンツとは一味違ったクリエイティブを創り出せるという利点があります。

360度動画とVR動画の違い

VR動画と360度動画が混同されがちなので、その違いを明確にしておきます。

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360度動画は全方向の映像を観ることができ、視聴者は見たい方向を操作できます。しかしVR動画のように体感はできず、あくまでマウス操作等でドラッグした方向を変えるだけです。

AR動画とVR動画の違い

ARとは「Augmented Reality(オーギュメンテッド・リアリティ)」の略であり、日本語では「拡張現実」と訳されます。商品カタログや雑誌を見る際に、スマートフォンをかざすよう指示されている箇所があり、専用アプリをダウンロードしたりバーコードリーダーを起動したカメラ越しで見てみると、商品を紹介する動画が流れたり、スマートフォンを通じて立体映像が見えるようになったりします。

VR動画のビジネス効果

VR動画は通常の動画コンテンツ制作に比べて高額なので、気になるのはVR動画を取り入れることでどういったビジネス効果が発揮されるかを理解することです。やはり通常の動画コンテンツとは異なるビジネス効果がありますので、その点にご注目ください。

リアリティ溢れるデモ映像が作成できる

VR動画を活用することで、通常の動画コンテンツよりもリアリティの高い映像を作成できます。この利点は特に「デモ映像」を作成する際に効果的です。通常の動画コンテンツでは製品のサイズ感や躍動感まで伝えることは難しいですが、VR映像なら手に取った際のサイズや実際に動かした際の躍動感を十分に伝えることができます。産業機械など大型製品を営業先に持っていくことは難しいため、遠方の取引先にVR動画でデモ映像を観てもらい、そのまま商談に繋げるという方法もあります。さらに、近年ではYouTubeがVR動画に対応しているため、YouTubeで消費者向けのVR動画を配信することで話題性も十分に集められるでしょう。

完成後のデザインを紹介できる

VR動画は建築業界でも幅広く活用されています。特に、注文住宅やリフォーム案件の際に完成後のデザインをVR動画で体感してもらうことで、具体的な検討を促すのに繋がっています。建築業界以外にも、顧客からの受注生産製品などにおいて完成後のデザインをVR動画で紹介することで、成約率を高められる効果が期待できるでしょう。

ブランドの世界観を高度に表現できる

ブランドが持つ世界観を表現したいときに通常の動画コンテンツを使ってクリエイティブな映像を配信することがありますが、そこにVR動画を組み込むことでより高度にブランドの世界観を表現し、ブランドファンを増やす効果が期待できます。

製品サポートへの活用

VR動画を用いて現場にいるような臨場感で製品サポートを実施することも可能です。特に大型製品では、製品サポートに時間が多くなるため、VR動画を活用することで対応コストを削減できます。

以上のように、VR動画には通常の動画コンテンツにはないさまざまな効果がありますので、シーンに応じてVR動画を取り入れことで通常よりも高いビジネス効果が期待できます。

VR動画の課題

ビジネスシーンに取り入れる動画コンテンツとしてVR動画は非常に魅力的ですが、VR動画を取り入れるにはいくつかの課題があります。企業はそれらの課題を解決した上で、VR動画を導入しない限りビジネス効果を最大限に享受するのは難しいでしょう。その課題とは何でしょうか?

VR動画視聴には専用ヘッドセットが必要

ここまでの解説でもわかるように、VR動画の視聴には専用のヘッドセットが必要です。高性能な製品となると10万円以上するため、企業で数台用意するだけでコストがかかりますし、丁重に扱わなければいけません。さらに、ヘッドセットを所持している企業や消費者が少ないことから、VR動画を配信できる母体数が少ないというのも難点の1つです。ただし、最近ではスマートフォンを利用したヘッドセットも販売されているので、今後の普及に期待できます。

VR動画制作のコストが通常よりも高い

VR動画は一般的な撮影作業や編集作業に加えて「スティッチング」という特殊な編集作業を必要とします。これは複数台のカメラで撮影した映像をパッチワークのように繋ぎ合わせていく作業を基本として、つなぎ目の明るさ調整や補正を行い、画面のブレなどを補正する作業です。

VR動画は映像の視点を自由に操作できることから「VR酔い」と呼ばれる不快感を感じることがあるため、これを軽減するために入念な編集作業が必要です。そのため、通常の動画コンテンツに比べると制作費用は圧倒的に高く、活用するシーンを限定するのが現実解です。

いずれの課題も、この領域は急速に発展しているため時間が解決してくれるかもしれません。皆さんもぜひ、今後のVR動画に注目してみてはいかがでしょうか。

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