動画制作を依頼するときに見積書をもらい発注作業や契約作業を行うことが一般的です。
制作会社から提出される各種文書をチェックしないまま進めて、後々トラブルに発展するという事例が少なくありません。もっとも、そうした事例の多くが不誠実な動画制作会社へ依頼したケースばかりです。
しかし、信頼のおける動画制作会社に依頼する場合も、契約書や見積書、各種書類などのチェックは確実にしておくことをおすすめします。そこで今回は、動画制作を依頼する際にチェックしておきたい契約時のポイントについてご紹介します。
チェックポイント①:動画制作にかかる費用や期間は、提案時と同じものか
一般的な動画制作のフローは、制作会社スタッフが依頼者の制作目的や課題をヒアリングした上で、最適な動画コンテンツをいくつか提案します。それと同時に動画制作にかかる費用や期間を提示した上で、依頼者が気に入ったものを選択するのが通常です。もちろん、その後に動画コンテンツのコンセプトや内容を煮詰めていくため、契約前に話し合ったことが全てではありませんが概ね方向感があっているためスムーズに事は進むでしょう。
ただし、初期設定としての費用や期間は契約前に固めておくのが一般的なので、提案時における費用や期間が変わることはまずあり得ないことです。もちろん、発注者側が新たな仕様を要求したりなど例外もありますが、その場合は制作会社から依頼者へ費用や期間が変更になる旨の連絡がくるでしょう。
不誠実な制作会社では、提案時と映像制作にかかる費用や期間が違っているケースがあります。提案時には安く短く見積もりを出しておいて、契約時になって「実は○○という作業も追加されるので、制作費用と制作期間がちょっと変わります」などと新しい費用や期間を提示してきます。最悪の場合、契約時になっても提示してこない制作会社もいるほどです。
ですので、見積書や契約書などで最初にチェックするポイントは動画制作にかかる費用と期間です。
チェックポイント②:責任の所在は誰にあるのか?
一つの動画コンテンツを制作するためには多くの人が関わっています。制作会社の中には、編集作業やCG加工などを下請けに委託して、一つの動画コンテンツに仕上げるという会社もあります。その際に注意していただきたいのが「責任の所在は誰にあるのか?」という点です。
たとえば、動画コンテンツが納品されてから不都合に気づいた場合、制作会社にそれを訴えても「編集作業は○○社の範疇なので、そちらにお問い合わせください」と対応してくれない可能性があります。「私が依頼したのはおたくの会社だ!」と抗議しても、契約時に責任の所在がハッキリと書かれていなければ、暖簾に腕押し状態です。こうしたトラブルを避けるためにも、動画制作における責任の所在は契約時にハッキリさせておくことが大切です。
誠実な制作会社ならば、編集作業やCG加工など一部の業務を委託していても、責任はすべてお客様が依頼した制作会社にあるとハッキリ明示しています。
ちなみに弊社では動画制作に必要なリソースをすべて内製化しているため、責任の所在についてご心配いただくことはありません。
チェックポイント③:第三者の権利について
「第三者の権利」とは、動画制作にあたって使用するBGMなどの著作権や肖像権を指します。たとえば動画コンテンツの中にBGMを挿入する場合、その制作者には著作権と肖像権があるため、無断で使用するとこれらの権利を侵害したことになります。
著作権…著作者が、自己の著作物の複製・翻訳・放送・上演などを独占する権利
肖像権…自己の容貌、姿態をみだりに写真、絵画、彫刻などにされたり、利用されたりすることのない権利
制作会社は著作権や肖像権、あるいは商標権を持つモノや人に対して、それを侵害しないよう必要な処置を講じなければなりません。万が一契約書などにこの条項が無いと、知らずの内に権利を侵害してしまい、民事裁判に発展する可能性もあります。
チェックポイント④:成果物に著作権、利用権、目的外利用について
このチェックポイントは動画制作の契約書などにおいて最も重要です。まず、制作した動画コンテンツの著作権が誰にあるかについてご説明します。
著作権法の原則としては、制作した動画コンテンツの著作権はその創作的行為に「発意と責任を有する者」に発生すると考えられています。つまり、動画制作にかかる費用のすべてを依頼者が拠出したとしても、著作権はそれを制作した制作会社にあるというのが原則です。この点に関して「著作権は費用を拠出した依頼者にある」と誤解されている方が多いかもしれません。
それに対して、依頼者が持つ権利が利用権です。これは動画コンテンツを制作した制作会社が「依頼者が○○という利用目的で本映像を利用することに同意する」という意味であり、あくまで著作権は制作会社にあります。ですので、依頼者が利用権に記載されている目的とは別の目的で動画コンテンツを利用した場合、権利侵害になる可能性があるためご注意ください。目的外利用に関しては別途協議する必要があるため、都度制作会社に相談することをおすすめします。
ただし、上記はあくまで著作権法の原則に従ったものなので、「支分権譲渡」という方法で著作権の共同所有が可能です。支分権とは著作者に発生する権利のうち、著作人格権を除く次のような財産権を指します。
- 複製権…制作した動画コンテンツをコピーする権利です。アナログ方式で制作された動画コンテンツをデジタル化する場合も含みます。
- 上映権…制作した動画コンテンツを公に上映する権利です。
- 頒布権…コピーされた動画コンテンツを頒布する権利です。
- 公衆送信権…制作した動画コンテンツをテレビ放映するための権利です。
- 送信可能化権…制作した動画コンテンツをインターネット上のサーバにアップロードするための権利です。厳密には著作権ではなく、公衆送信権に帰属していますい。
- 二次利用権…二次的制作物を利用する権利です。
動画制作の中には、著作者が制作会社であるにもかかわらず説明段階では「発注者に帰属す」という場合があります。しかし、原則として著作権は制作会社にあるため、依頼者は支分権譲渡という形で著作権を持つことができます。
制作した動画コンテンツをスムーズにビジネスに活用するためには、支分権によって著作権の一部を譲渡することも時に大切です。優良な制作会社ならばそうした協力に積極的なので、都度相談してみましょう。
弊社、ヒューマンセントリックスが製作した成果物は全てコピーフリーで提供させていただいております。なぜなら、私たちはお客様の成功が第一優先ですから、動画をフルに活用していただきたいという思いからそうさせていただいております。
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知らずのうちに著作権を侵害してしまい損害賠償を請求されてしまった…。といった事態に陥らないためにも動画制作における著作権の基礎知識は動画制作に関わる全ての人々に理解していただきたい項目です。
チェックポイント⑤:原版の保管について
原版とは制作した動画コンテンツのオリジナルデータのことです。この保管期間は制作会社によって分かれるところであり、半年のみ保管する会社もあれば3年以上保管する会社もあります。原版の保管に関しては、保管のためのキャパシティーも必要ですし、コストもかかるため依頼者と制作者の協議によって決定する場合が多いです。契約時に確認することをお勧めします。
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契約内容のチェックは必ず契約前に行うこと
信頼のおける動画制作会社だとしても、本稿で紹介したチェックポイントを参考に、確認を行ってください。大企業の場合には契約書は存在しない場合が多く、商談時に提出される各種資料や見積書に上記で説明したことが記載されている場合があります。いずれにしましてもトラブル回避とスムーズな動画制作を行うためにも、認識の相違がないかなどの確認は絶対的に必要です。
弊社の動画制作に興味があり、ご発注いただく際は、少しでも気になる点があれば、いつでも何度でもご相談ください。弊社スタッフが責任をもって対応いたします。
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