「動画コマース(ライブコマース)」という新しいEコマースの形をご存知でしょうか?文字通り、動画を活用したEコマースですが、単にECサイトに動画コンテンツを掲載するというものではありません。動画コマースは、「視聴者が動画またはライブ配信を視聴しながら、そのコンテンツ上で買い物ができる」というスタイルのEコマースです。本稿では、近年そのニーズが急上昇している動画コマースについて解説しています。
動画コマースって何?
改めて、動画コマースとはECサイト上に掲載した動画コンテンツから、商品の詳細について知ることができ、さらには動画コンテンツ上で買い物もできるという新しいEコマースの形です。国内では2018年から市場が拡大しつつあり、今年のEコマース市場におけるホットワードとして注目を集めています。
「テレビショッピングのEコマース版」とイメージしていただけると、分かりやすいかもしれません。ちなみに、動画配信をリアルタイムに行うタイプの動画コマースを「ライブコマース」と呼びます。
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動画コマースと従来のEコマースの違い
動画コマースのニーズが急上昇する以前から、動画コンテンツに対する注目度は高く、ビジネスシーンで活用する動きが活発になっています。今や会社ホームページにPR動画を掲載するのは当たり前ですし、営業活動でもプレゼン動画などが使われています。この動画コンテンツ活用の波が、いよいよEコマースにも到来したというわけです。では、動画コマースと従来のEコマースにはどんな違いがあるのでしょうか?Eコマース利用者とEコマース運営者、2つの視点から考えていきましょう。
EC利用者の視点
1.商品の実際に近い情報が得られる
商品ページにいくら写真が並べられていても、そこから得られる情報は商品のデザイン面に限定されます。サイズ感は商品説明で把握できても、実際に手に取ってみないと分からないというのがEコマースを利用する上での難点ですね。動画コマースでは、静止画よりも情報量が多いため、デザイン面だけでなく質感や動き、音など実際に近い情報を得られるというのがEコマース利用者にとって大きな利点です。
2.具体的な利用シーンを想像できる
商品販売の形態が時代と共に変化してきても、テレビショッピングが今でも人気を集めている理由は、商品を実施に利用している映像を利用者自身の目で確かめることができ、具体的な利用シーンを想像できるからです。動画コマースにはそれと同じ効果があるため、Eコマース利用者はより具体的な利用シーンを想像でき、商品のミスマッチを防ぐことができます。
3.購入前の不安を解消できる
従来のEコマースでは商品を購入するにあたって、「想像していたものと違ったらどうしよう」という不安をゼロにすることはできません。返品ができない場合もあるので、Eコマース利用者は利便性の代わりに一種のリスクを負っているのです。動画コマースでもそうした不安をゼロにすることはできませんが、Eコマース利用者が抱えるいくつかの不安を解消することはできるので、従来のEコマースよりも安心して買い物を楽しむことができます。
EC運営者の視点
1.購入やシェアに繋がりやすい
数あるコンテンツの中で、今最も高いシェア率を持っているのが動画コンテンツです。動画は映像と音声で資料者にさまざまな情報を訴求することができ、テキストや静止画と比較して共感を得やすいという特徴があります。そのため、動画コンテンツのシェア率は高く、動画コマースを活用すれば今までよりも多くシェアを集めることができ、商品に関する情報をより広範囲に拡散できます。
2.動画配信プラットフォームを活用できる
動画コマースにあって従来のEコマースに無い強みが、動画配信プラットフォームを活用できることでしょう。動画コマースで配信している動画コンテンツを、YouTubeなどの動画プラットフォームで配信すれば、より多くのEコマース利用者に情報を届けることができます。さらに、動画配信プラットフォームの多くは、配信する動画コンテンツの中にテキストやリンクを挿入できるので、動画コマースとの連携も簡単に行えます。
以上のように、動画コマースと従来のEコマースとでは決定的に違う部分が多く、Eコマース利用者にもEコマース運営者にとっても、多くのメリットをもたらします。ちなみにマクロミルの調査では15~49歳の男女2万人に対し、ライブコマースの認知に関するアンケートを実施しています。「ライブ配信を視聴しながら買い物ができるインターネットサービス(アプリ)を知っているか?」という質問に対し、「知っている」と回答したのは全体の30%だそうです。
参考:MarkeZine ライブコマースの認知率は3割/購入に至る割合が高いのは男性/売れ筋1位は「服」【マクロミル調査】
どんな動画コマースがあるのか?
国内では既にいくつかの動画コマースサービスが展開しています。動画配信プラットフォーム大手のYouTubeに特化したもの、フリマアプリ大手メルカリが展開するサービス、それとネットTVのAbemaTVが展開するサービスです。
YouTube専門のマネジメント・プロダクションである「UUUM」は、「伝説の宝島MUUU」という動画コマースを展開しています。若年層向けに食品やコスメ、ファッション商材など幅広く販売しており、今後もYouTubeを起点にした新しい商品展開が期待されています。
国内で1,000万ダウンロード以上を達成したフリマアプリのメルカリは、ライブコマースサービスとして「メルカリチャンネル」を展開しています。アプリをダウンロードするだけで、誰でも簡単にライブ動画の配信および視聴が行え、そのまま商品購入もできます。ライブ動画配信画面のユーザー・インターフェースもしっかりと設計されているので、ライブ動画そのものを楽しむことができますし、売手の顔が見えるので安心して商品を購入できます。
サイバーエージェントとテレビ朝日が運営するネットTVのAbemaTVが放映しているのが、「買えるAbemaTB社」という動画コマースです。ハンバイヤーと呼ばれる販売員がおすすめの商品を番組で紹介し、その場で購入できるというスタイルです。新しいテレビショッピングとして注目され、番組構成にもオリジナリティがあるため、今までにないユーザー・エクスペリエンスを提供するEコマースとして人気が上昇しています。
動画コマースに注目しよう!
現在、動画配信プラットフォーム等を利用せず、独自に動画コマースを展開する企業も少しずつ散見されます。動画コンテンツが持つ影響力に着目すれば、それをEコマースに取り入れるのは自然の流れでしょう。今はBtoC企業に特化している傾向が強いですが、いずれBtoB企業においても様々な使われ方がなされることが予測できます。皆さんもぜひ、この機会に動画コマースについて検討してみてはいかがでしょうか?
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