近年、メタバースがさまざまな業界の注目を集めています。ビジネスへの応用のために、基礎知識や活用事例を知りたいと考えている企業経営者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、メタバースの概要や注目されている背景、ビジネスに与える影響などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
メタバースとは?
メタバース(Metaverse)とは、「超える」を意味する「Meta」と「宇宙」を意味する「Universe」が組み合わさって生まれた造語です。明確な定義はありませんが、メタバースは多くの場合、クラウド技術やVR技術を利用したインターネット上の仮想空間のことを指します。アバターと呼ばれる自身の分身をつくることで、仮想空間の中へ没入し、他者とのコミュニケーションをはじめとする社会活動などが行えます。メタバースが注目される背景
メタバースは、これまでゲームなどで用いられることがあった概念ですが、近年では実用性のあるものとして大手企業が参入するなど、さまざまな業界の注目を集めている状況です。身近なところでは、リモートワークのコミュニケーションによるストレスや問題点を解決できるものとして期待されています。ここでは、それほどまでにメタバースが注目されている背景について解説します。通信技術・VR技術の発展
メタバースを実現するための技術基盤である通信技術やVR技術の発展によって、実用化ができるようになりました。メタバースを実現するには、仮想空間に没入するための機器やシステム、インターネット空間で遅延なくデータをやり取りする高速大容量な通信回線などが必要です。
メタバースでは、自身の動作をアバターとリンクさせたり、大容量のデータを扱ったりします。機器やシステムにはVRゴーグルがあたり、通信回線は5G技術によって実現されています。これらの技術が社会に普及し出したことで、メタバースの実現ができるようになり、実用の可能性が検討されるようになりました。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの影響によって、オフィスへの出社を控え、オンラインコミュニケーションツールによるリモートワークを行う企業が増加しました。しかし、リモートワークで用いるコミュニケーションツールでのやり取りでは、通信技術の向上により低遅延で快適に行えるものの、細かいニュアンスや表情、動作まで伝えることが難しく、ストレスを抱える場面も多いのが現状です。
その点、メタバースを導入できれば、アバターによってあたかも出社しているかのように業務を行えることから、コミュニケーション問題の解決方法として注目されるようになりました。 また、新型コロナウイルス拡大防止の観点から、大規模な行動制限が行われるようになり、多くのイベントが中止されています。メタバースを活用することで、仮想空間上で接触を避けながら大人数が参加するイベントを開催できるため、その点でも注目を集めています。
大手企業の参入
これまでにはなかった仮想空間上におけるビジネスを普及させられる可能性があることから、Facebookから社名変更を行ったMetaやMicrosoftといった大手企業が、相次いでメタバース事業への参入や投資を発表しています。
現実と同様の生活を仮想空間で行えるようになれば、ビジネスチャンスを大きく広げることが可能です。現実とは異なり、VRヘッドセットなどを装着して通信環境を整えるだけで、仮想空間上の好きな場所へアクセスできるといった、利便性の高さも利用につながりやすいとされています。
特に注目されているのが、改ざん防止を行える非代替性トークン「NFT」の技術との組み合わせです。これにより、仮想空間上での契約や売買といった経済活動まで行える可能性が期待されています。このように、大手企業が次々参入したことで、メタバースが身近なものになることが現実味を帯びはじめ、世間の注目を集めているのです。
メタバースがビジネスに与える影響
新しい概念として注目を集めているメタバースは、すでにいくつかの企業によって、ビジネスシーンでの活用が進められています。代表例としては、バーチャルオフィスやバーチャルショップ、バーチャルイベントなどがあります。バーチャルオフィス
Metaは「Horizon Workrooms」によって、メタバースを活用したバーチャルオフィスを実現しています。指定のVRデバイスを用いて仮想の会議室へ入室でき、そこで集まって身振り手振りを交えた対話や、資料を用いたミーティングなどが可能です。
手を振るなどの動作は、コントローラーに搭載された手認識機能によって実現されています。会話中の口の動きまでアバターに反映されているほか、他人の話し声が発声された方向から聞こえてくるような音響技術まで搭載されており、現実の会議さながらの臨場感あるものとなっています。
また、仮想会議室へPCを投影して持ち込んで操作することも可能です。Webサービスとの連携機能も備わっており、ホワイトボード機能による共有ボードへの文字の書き込み、付箋や資料の貼り付けまで行えます。さらに、書き込んだデータは記録される仕様です。フィールドは会議室だけにとどまらず、個人のワークスペースやビーチで海を眺められるシチュエーションも用意されています。
また、oVice(オヴィス)などの新興企業もビジネスメタバースの領域において注目を集めています。
バーチャルショップ
大手セレクトショップのBeamsでは、メタバースを活用した「ビームスバーチャルマーケット店」を、世界最大のバーチャルイベントであるバーチャルマーケットへ出店しています。
バーチャル世界においても店舗のひとつであるという考えのもと、リアル店舗の構造を踏襲したものとしつつも、仮想空間ならではの表現を行っています。 Netflixで配信された「浅草キッド」とのコラボレーション企画として、店舗の2階に映画の舞台を用意し体験できるようにしました。
ほかにも、店舗2階で牛乳石鹸共進社とのコラボレーション企画としてバーチャル銭湯を提供するなど、多様な表現を行っており、イベント来場者から好評を得ています。
また、店舗スタッフがアバターとして接客するバーチャル接客を行っており、リアル店舗と変わらないコミュニケーションを実現しています。
バーチャル接客を体験した来場者が、現実世界でも接客を受けたいという動機によって、リアル店舗へ来店するケースもあったとのことです。このように、Beamsはメタバースを積極的に取り入れることで、新たな知見を集めています。
バーチャルイベント
メタバースの概念を取り入れたオンラインゲーム「Fortnite」内にて、俳優・歌手の星野源さんによるバーチャルライブイベントが開催されました。イベントはクリエイターチームである3D Labによって手掛けられており、バーチャル空間で色や風景の変化などによってライブの演出を行っています。
ライブイベントでは星野源さんが6曲を披露しており、プレイヤーは一緒に踊るなどの体験ができるものとなっています。
まとめ
近年、仮想空間へ自身の分身であるアバターとして参加し、現実世界のように活動できるメタバースという概念が注目されています。その背景には、新型コロナウイルスによるリモートワークツールとしての応用や、多様なビジネスへ応用できる可能性があることから、大手企業が相次いでメタバース事業への参入や投資を決めていることなどが影響しています。
メタバースは、NFTという新しい技術と掛け合わせることで、仮想空間上で重要な契約や売買を行うことも可能とされています。バーチャルオフィスやバーチャルショップ、バーチャルイベントといった事例から実用性が明らかとなりつつあり、今後さらにメタバース事業が活性化していくことが予想されます。
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