【企業向け】BtoB企業に動画って必要?|「自社には関係ない」を変える実践ガイド
BtoB企業のマーケティングや営業支援において、動画の必要性を感じながらも「自社には向かないのでは」と考える方は少なくありません。背景には、業界特有の商材特性や決裁プロセス、既存の営業スタイルなど、いくつかの“もっともらしい理由”があります。しかし実際には、BtoB業界で動画活用は着実に広がり、営業成果や採用力向上に結びついた事例も増えています。本記事では、BtoBビジネスでの動画に関する誤解を整理し、活用シーンや成果につなげるための設計、導入のステップまでを実践的に解説します。
BtoB企業が動画を敬遠する2つの理由
BtoB向けの企業様から動画活用の相談をいただく際、「うちは無形商材だから…」「決裁者は動画を見ないと思って…」といった声を耳にすることがあります。こうした“もっともらしい理由”が、結果的にBtoB企業での動画活用を遠ざけてしまうケースも少なくありません。 ここでは、その背景によく見られる2つの誤解を整理します。
1.「うちは無形商材だから動画に向かない」という誤解
多くのBtoB企業が抱く代表的な誤解です。しかし実際には、無形商材こそ動画の効果を発揮しやすい領域といえます。サービスの仕組みや課題解決の流れをアニメーションやイラストで可視化することで、テキストや口頭説明では伝わりにくい価値を短時間で理解してもらえるためです。
2.「決裁者は動画を見ない」という思い込み
経営層や決裁者が「動画を見ない」と考える企業も少なくありませんが、これも実情とは異なります。決裁者層は「短時間で本質を把握したい」というニーズが強く、要点がまとまった動画は非常に有効です。実際、米国HubSpotの調査※1ではBtoB購買担当者の55%以上が「動画は比較・検討に役立つ」と回答しています。
【出典】
※1:Hubspot『Marketing Statistics Every Team Needs to Grow in 2025』
https://www.hubspot.com/marketing-statistics
実際にはBtoBビジネスで動画活用が進んでいる
前章では、BtoBで動画が敬遠されがちな理由を整理しました。しかし実態としては、動画活用は着実に広がっています。ここではその根拠を3つの視点から簡潔に確認します。
1. BtoBでも着実に広がる動画活用
製造業、SaaS、物流、医療、通信など、複雑な説明が欠かせない業界では特に導入が加速しており、営業資料の補足、展示会での訴求、採用活動、社内マニュアルなど、多様な用途で成果を上げています。動画活用はもはやBtoCだけのものではなく、BtoB企業にとっても重要な営業・マーケティングツールとなっています。
2. 市場成長と購買行動の変化も影響
国内動画広告市場は、2023年に6,000億円を超え※2、2027年には1兆円規模に達する見込みです。BtoC中心の成長ではありますが、BtoBビジネスでも営業支援や採用広報、社内共有などの用途が広がっています。
特に若手層は「まず動画で概要を把握する」傾向が強まり、テキストよりも短時間で理解できるメディアとしての価値が高まっています。こうした背景から、「動画はまだ早い」と構えるよりも、伝え方の選択肢のひとつとして捉える動きが広がりつつあります。
【出典】
※2:CyberAgent『2023年国内動画広告市場の調査』
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=29827
3. 営業スタイルの変化と動画は親和性が高い
ビジネスのデジタル化により、オンライン商談や非対面営業が定着しました。訪問機会が減るなか、「どうやって自社の価値を伝えるか」は多くの企業に共通する課題です。
動画は、説明の補足や初回接触の興味喚起、社内展開用の紹介ツールなど、営業プロセスの複数フェーズで活用できます。「営業が伝えきれない部分を補うツール」として、営業資産のひとつに位置づけられるようになっています。
BtoBビジネスで動画が活きる4つの活用シーン
では実際に、BtoB企業ではどのような場面で動画が活用されているのでしょうか?
ここでは、特に活用が進んでいる4つのシーンを紹介します。
1. マーケティング
展示会やWeb広告、サービス紹介ページなど、認知・興味喚起のフェーズで動画は高い効果を発揮します。
たとえば、ITシステムのように構造が複雑で言葉だけでは理解されにくい商材も、「導入前/導入後の業務フローの違い」をアニメーションで示せば、短時間で利点を理解してもらえます。
また、Web広告に短尺動画を組み合わせることで、テキストよりも記憶に残る可能性が高まります。
【活用事例】Slack Japan 株式会社様 営業向けSlack紹介デモ動画
Slack Japan 株式会社様では、営業向けにSlackを活用するメリットを訴求するデモ動画制作をされています。「ある営業担当者の一日」という自分ごとにしやすい構成と、実際のデモ画面を活用することで、提案時に使っている様子をわかりやすく訴求する内容に仕上がりました。動画は主にマーケティング活動のコンテンツとして活用いただいております。
Slack Japan 株式会社様の事例について詳しくはこちらをご覧ください。
2. 商談活動
商談の場では、「サービスの仕組み」「他社事例」「導入の流れ」などをまとめた説明動画が、営業担当者ごとの説明の差を抑え、安定した情報提供を可能にします。
さらに、商談後の検討フェーズでは、印象が薄れやすいタイミングに合わせて動画を再送することで、訴求ポイントを鮮明に保つことができます。結果として、担当者が社内で提案を通す際の“社内合意形成ツール”としても機能します。
【活用事例】株式会社シーイーシー様 CECが提供するものづくりのためのソリューション
株式会社シーイーシー様は、工場の設備・人・モノの可視化を行うためのソリューション紹介動画を制作されました。実際の画面や構成図、使用映像を交えてわかりやすさを重視されており、展示会の説明や、商談の現場でお見せしたりといった活用を頂いております。
株式会社シーイーシー様の事例について詳しくはこちらをご覧ください。
3. 採用・ブランディング
「社風」や「働く人の魅力」は、テキストだけでは伝わりにくい傾向があります。
たとえば社員インタビュー動画で、「どんな想いで働いているのか」「職場の雰囲気」を紹介することで、応募者にリアルな企業像を届けられます。さらに、会社説明会で流す動画に現場の映像や1日の業務風景を盛り込めば、参加者の理解と共感を深め、エントリー意欲の向上にもつながります。
【活用事例】株式会社トープラ様 採用向け 先輩社員インタビュー動画
株式会社トープラ様では、新卒採用活動向けに、先輩社員の働く姿や実際の声を学生に届けるため、インタビュー動画を作成されてました。仕事風景や業務内容をインサートで挟むことで、働くことをイメージしやすい設計となっています。
株式会社トープラ様の事例について詳しくはこちらをご覧ください。
4. 研修・教育
研修や業務マニュアルを動画化することで、説明内容のばらつきを防ぎつつ、必要な時に何度でも繰り返し視聴できる環境を整えられます。 たとえば、製造業の現場マニュアルで「誤った作業手順」と「正しい手順」を比較して示せば、理解と定着をより確実に促すことが可能です。
また、企業理念やトップメッセージを動画で共有すれば、拠点が複数に分かれる組織でも、一貫性のある社内コミュニケーションを実現できます。
【活用事例】YKK AP株式会社様 エピソードNEO-LB 引違い窓 施工紹介動画
YKK AP株式会社様では、窓の施工方法について「紙やカタログでは伝わりにくい部分を、動画ならよりわかりやすく伝えられるのでは」との考えから、
施工手順を解説する動画を制作されました。実際の施工現場で職人の方々に取材を行い、派手さよりも「わかりやすさ」を重視したシンプルな内容に仕上げています。
YKK AP様の事例について詳しくはこちらをご覧ください。
BtoB企業が動画制作で押さえるべき4つのポイント
活用シーンが見えてきたら、次は「どうすれば成果につながる動画になるのか」を検討する段階です。
そこで重要なのは、目的・場面・情報・表現という4つの要素を設計段階で明確にすることです。
これらが曖昧なまま制作に入ると、再生回数や視聴完了率は稼げても、商談化や応募数の増加といった本来の成果に結びつかない動画になりがちです。 ここでは、この4つの設計ポイントを具体的に解説します。
1. 何の目的で活用するのか
最初に定めるべきは「動画を作る目的」です。認知拡大や商談化支援、採用強化、社内教育など、目指す成果によって、動画の構成・尺の長さ・配信チャネルが大きく変わります。たとえば、展示会で新規リードを獲得したいなら「1分以内で興味を引く短尺動画」が有効です。
一方、社内研修で業務定着を図る場合は「手順を丁寧に解説した3〜5分の動画」が適しています。
目的が明確であれば、撮影時の素材の取捨選択や編集方針にブレが生じず、制作後の効果測定も的確に行うことができます。
【関連記事】 |
動画制作の目的については、以下の記事で解説しています。 |
2. どのような場面で使うのか
動画の効果は「どのような場面で視聴されるか」に大きく左右されます。
具体的には、営業訪問前の事前送付、展示会ブースの大型モニター、Web広告、メール添付、社内研修など、想定シーンごとに見られ方や受け取られ方は異なります。たとえばWeb広告用の場合、冒頭3秒で視線を引き付ける構成が必須です。 展示会で使う場合は「音声なしでも理解できる」字幕やビジュアル設計が重要になります。このように、どこで使うかを事前に決めておくことで、成果につながる動画を制作できます。
3. どんな情報を見せるのか
BtoBでは視聴者が求める情報が明確なケースが多く、「知りたいことがすぐ分かる」動画が好まれる傾向があります。すべての情報を網羅的に盛り込むよりも、視聴者の課題解決に直結する要素に絞って提示する方が効果的です。
以下に、BtoB動画でよく活用される情報設計のパターンを示します。
伝える情報 |
内容 |
期待できる効果 |
製品の機能や仕組み |
複雑な構造や動きを図解・アニメーションで短時間に理解できる形で表現 |
専門知識がなくても直感的に理解でき、検討初期段階でも関心を引きやすくなる |
他社事例 |
導入前後の変化を実際の数字やエピソードとともに提示 |
成果の再現性をイメージでき、信頼感や導入意欲が高まる |
導入メリット |
成果や改善点をデータ・グラフで可視化 |
意思決定者への説得力が増し、社内承認や稟議がスムーズになる |
4.どう表現するのか
目的や対象者に適した表現手法を選択することで、BtoBビジネスでの動画は、単に「見やすい」だけでなく「確実に成果につながる」ツールとして機能します。以下に、よく使われる表現手法とその効果を整理します。
表現手法 |
特徴 |
BtoBビジネスでの効果 |
インタビュー |
顧客や社員の声を直接伝える手法 |
信頼感を高め、営業や採用での"自分事化"を促進できる |
プレゼンテーション |
資料を用いた説明形式で、話し手の熱意や表情も伝達 |
複雑な提案や新規事業の理解と納得を促進 |
アニメーション |
図解や動きで複雑な内容を直感的に表現 |
無形商材や業務フローを短時間で理解させることができる |
CG・モーショングラフィックス |
3DCGや動きのあるグラフィックで訴求 |
革新性や先進性を強く印象づけることができる |
BtoBビジネスでは、これらを組み合わせた“ハイブリッド型”の動画も有効です。例えば製品説明をアニメーションで行い、最後に導入企業のインタビューを組み込むことで、理解促進と信頼構築の両立が可能になります。
BtoB企業が動画を導入・推進するためのステップ
BtoBビジネスで動画を活用しようとしても、「社内の理解が得られない」「予算が確保できない」「作った後の運用が続かない」といった壁にぶつかることは少なくありません。ここでは、社内合意形成から運用定着までをスムーズに進めるための3つのステップを紹介します。
Step.1 社内の理解・共感を得る
まずは、動画を活用することの必要性を数字や事例で裏付けて関係者から納得を得ます。
そのためには「競合の成功事例」「市場データ」「想定効果」など、売上や採用に直結するデータを提示すると説得力が高まります。特に経営層や営業部門には、「動画が事業成果にどう寄与するのか」を具体的に示すことが重要です。
Step.2 小規模スタートで成功体験をつくる
いきなり大規模な制作に踏み切らず、短尺動画や既存資料の動画化から始めます。
例えば、営業資料の一部を動画化する、研修工程を動画マニュアルにする、展示会用に15秒のPR動画を制作する、といった小さな試みでも十分です。こうした成功体験が、社内での前向きな空気を生み出します。
Step.3 外部パートナーと一緒に進める
動画を内製すると、制作の負担や品質のバラつきが課題になります。また、社内に動画ノウハウがない場合もあります。外部パートナーと組めば、企画・制作・運用まで一貫して支援を受けられ、社内リソースを戦略や営業活動に集中できます。特にBtoBビジネスでの実績が豊富な制作会社なら、商材の特性や営業現場での活用シーンを踏まえた提案が可能です。
【関連記事】 |
動画制作の内製化や専門家への外注については、以下の記事で解説しています。 |
まとめ|動画の活用はBtoBビジネスで成果を生む時代に
BtoBだから動画は不要という考え方は、近年の市場環境では当てはまりません。複雑な商材や長い意思決定プロセスを持つBtoB企業こそ、動画を戦略的に活用することで成果を高められます。
成功のポイントは、動画活用の誤解を解き、目的・活用場面・伝える情報・表現手法を明確に設計することです。小規模な取り組みから始めて効果を可視化し、社内の理解を得ながら段階的に活用範囲を広げることで、スムーズな定着が可能になります。
当社では、製造業・IT・物流・医療など多様なBtoB業界での知見をもとに、企画から制作、運用まで一貫して支援しています。営業・マーケティング現場での活用シーンを想定した企画が特長です。BtoBビジネスで動画活用をご検討の際は、ぜひご相談ください。
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