【企業向け】タクシー広告の効果は?メリットから費用感、成功のポイントまでを解説

 2025.09.08  株式会社ヒューマンセントリックス

【企業向け】タクシー広告の効果は?メリットから費用感、成功のポイントまでを解説


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近年、デジタルマーケティングの多様化により、新たな広告手法として「タクシー広告」が注目を集めています。2025年現在、タクシー広告市場は急速な成長を遂げており、特にBtoB企業や富裕層向けサービスを展開する企業にとって、高い費用対効果を期待できる広告媒体として位置づけられています。タクシー車内という密閉されたプライベート空間で、経営層やビジネスパーソンに直接アプローチできる独自の価値により、従来の交通広告とは一線を画す、効果的なマーケティング手法として急速に普及しています。本記事では、タクシー広告の基礎知識から費用相場、効果的な活用方法までを解説します。

タクシー広告とは?

タクシー広告とは、タクシーの車内外を活用した交通広告の一種で、乗客や歩行者に向けて商品・サービスを訴求する広告手法です。従来のステッカーやリーフレット広告から、近年はデジタルサイネージを活用した動画広告が主流となっており、タクシーという移動空間を効果的なメディアとして活用できます。
なぜ、今タクシー広告が注目されているのかというと、2025年のタクシー広告市場は、インバウンド需要の回復、高齢化社会による利用増加、ライドシェア解禁の兆しなど、複数の要因により成長段階にあります。
特にデジタルサイネージの普及により、リアルタイムでのターゲティング配信や効果測定の精度向上によって、広告媒体としての価値が大きく見直されており、今後も継続的な成長が見込まれています。

タクシー広告に向いている企業や製品・サービスとは?

タクシー広告が効果的な企業や製品・サービスについて2つ解説します。

1. BtoBビジネスなど決裁者層アプローチが必要な企業に最適

タクシー利用者の特徴として、会社経営者の約72%が月4回以上利用し1、管理職以上のビジネスマンや富裕層の利用割合が高いことが挙げられます。
このような利用者層の特性により、SaaS企業や人事システム、業務効率化ツールなど、企業の意思決定層が導入を検討する商材で効果が確認されています。実際にタクシー広告を運用した担当者は※2「タクシー広告は明確に決裁者リードが多かった」と報告されており、「決裁者がCMを見て、部下に翌日資料請求させる」という行動も確認されています。従来の営業手法では接触困難な企業の代表者や役員クラスに対して、移動中のリラックスした環境で自然にアプローチできることが最大の価値です。

2. マーケティング単体目的では効率が悪い

SaaS企業のベルフェイスが実施した検証では、タクシー広告の投資リターンは1.7倍でした※3。しかし、 SaaS業界では「LTV(顧客生涯価値)÷CAC(獲得コスト)」の指標がよく用いられ、3倍以上が望ましい投資効率とされるケースが多くあるため、マーケティング効率としては決して高くありません。そのためBtoB企業であれば「マーケティング目的でしかないならやらないほうがいい」と言えるでしょう。
タクシー広告で効果を得るには、市場啓蒙・カスタマーサクセス、採用強化、ブランディングなど複数の部門にまたがる効果を総合的に評価できることが前提となります。 年商10億円未満で単価100万円未満の商材を扱う企業や、短期的なROI改善を最優先とする企業、特定の職種や業界に絞ったターゲティングが必要な企業には費用対効果が合わない可能性が高くなります。タクシー広告は戦略的に複数の目的を持って取り組む場合にのみ価値を発揮する媒体として理解すべきでしょう。

【出典】
※1: 一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会「2023年度(第32回)タクシーに関するアンケート調査結果」
https://www.taxi-tokyo.or.jp/assets/pdf/datalibrary/research2023.pdf
※2:はやし|Ubieマーケター「『タクシー広告始めるBtoB企業が増えたけど本当に意味あるの?』への一回答」(note、2019年11月8日)
https://note.com/hayashi_bf/n/ncb2cab4eefe4
※3:The Startup「ヒラメ筋のベルフェイスのLTVは700万円!タクシー広告の投資リターンは1.7倍」(2019年10月30日)
http://thestartup.jp/?p=19206

タクシー広告の4つのメリット

タクシー広告のメリットを4つ解説します。

1. 高い視認性と接触時間を確保できる

タクシーの平均乗車時間は約18分間で、この間乗客は車内広告に自然と接触します。密閉された個室空間のため、他の交通広告と比較して圧倒的に高い視認性を実現できます。

2. 異なるターゲット層にアプローチできる

タクシー利用者の特徴は以下です。

・会社経営者の約72%が月4回以上利用※
・会社員が約50%を占め、経営者・自営業等を含むビジネス関連利用者が過半数
・富裕層・高所得者層の利用率が高い

このような利用者層の特性により、従来のマス広告では到達困難な決裁者層や高所得者層に効率的にリーチできることができます。

【出典】
※1: 一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会「2023年度(第32回)タクシーに関するアンケート調査結果」
https://www.taxi-tokyo.or.jp/assets/pdf/datalibrary/research2023.pdf

3. 24時間稼働により広範囲にリーチできる

タクシーは24時間稼働するため、時間帯を問わず広告を掲載でき、都市部を中心とした広範囲での露出が可能です。また時間帯によって変化するタクシー利用客に応じて、深夜帯は飲食・エンターテイメント関連、平日日中はBtoB商材というように、ターゲット変化に応じた配信もできます。

4. 行動につながりやすい環境を提供する

プライベート空間でリラックスした状態の乗客に対して、気になった広告について即座に検索できる環境を提供します。スマートフォンを使った調べ物や、サービスサイトへのアクセスなど、具体的な行動につながりやすい点が大きな特徴です。

タクシー広告での注意点について

タクシー広告での注意点を、2つ解説します。

1. 広告が届く人数が少なく効果が分かりにくい

タクシー広告は、利用者が限定的であることが最大の制約です。一般的な電車広告と比較すると、1日あたりの接触者数は大幅に少なくなります。マス向けの認知拡大を目的とする場合は、他の広告媒体との組み合わせが必要になります。
また直接的なコンバージョン測定が困難で、ブランディング効果の定量化には専門的な手法が必要です。プロモーションコード・専用URLの設置など、間接的な測定手法を組み合わせる必要があります。

2. 使い方次第で効果が大きく変わる

タクシー広告は「出稿すれば効果が出る」媒体ではありません。ターゲット設定、配信エリア・時間帯の選定、クリエイティブの最適化、他施策との連携など、総合的な戦略設計によって効果は大きく左右されます。また短期間の出稿では十分な効果が得られにくく、最低でも3ヶ月以上の継続出稿を前提とした予算設計が推奨されます。

タクシー広告の効果を高める方法について

タクシー広告の効果を高める2つの方法を紹介します。

1. ターゲットとエリアを明確にする

ターゲット層の行動パターンに合わせて配信エリアを戦略的に選定することで、効率的なリーチが可能になります。以下にターゲット別の推奨エリアを紹介します。

・BtoB向け:大手町・丸の内・六本木などビジネス街中心
・富裕層向け:高級住宅街・商業施設周辺
・決裁者層向け:主要企業が集積する都心部のオフィス街や、高級ホテル・レストラン周辺など、経営層が集まるエリア

2. シンプルで印象に残るクリエイティブを作る

移動中の限られた時間で確実に印象を残すため、簡潔で記憶に残りやすいクリエイティブ制作が必要です。その際、「見たあと、どう動いてもらうか」を設計した作りにしましょう。以下に具体例を紹介します。

・短時間で理解できるシンプルなメッセージ
・映像・音声を活用した印象的な構成
・QRコードやURL記載による行動促進
・タクシー環境に適した音量・色彩設計

クリエイティブ制作時は、視聴後の行動導線を明確に設計することが重要です。例えば、音声ナレーションで「○○で検索」と検索キーワードを伝える、画面上にQRコードを大きく長時間表示して揺れる車内でもアクセスしやすくする、専用URLを覚えやすい文字列にするなど、具体的な行動を促す仕組みを組み込みましょう。クオリティの高い動画は制作会社選びが重要となります。

【関連記事】

 動画制作を外注する際のパートナー選びや、失敗しないためのポイントついては、以下の記事で解説しています。
【企業向け】動画制作を外注するなら|失敗しない選び方と成功のコツ

タクシー広告の種類と費用相場

タクシー広告にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や費用が異なります。主要な広告形態の種類と費用相場を以下の表で紹介します。

広告種類

費用相場
(1台あたり月額)

主な特徴

デジタルサイネージ(動画広告)

2,500円~5万円

助手席の背面に設置されたタブレット端末で動画広告を配信。高い視認性と動画による訴求力、ターゲティング機能を持つ。

ステッカー広告

1,000円~3,500

車内外のさまざまな場所に掲載可能で最も導入しやすい。低コストで長期掲出による反復効果と幅広いリーチします。

アドケース(リーフレット広告)

2,000円~3,000

運転席・助手席背面にリーフレットを設置。乗客が持ち帰れるため効果測定しやすく、詳細情報提供に適している。

ラッピング広告

35,000円~

車体全体を使用する大型広告。最も高いインパクトがあり、ブランディング効果と高い認知度向上を期待できる。

また、ここで紹介した費用相場は、いずれも「1台あたりの月額単価」の目安になります。ただし、実際の契約は「数十台から対応可能なメニュー」もあれば、「都内では数百〜数千台単位以上が前提」のものもあり、出稿規模によって総額は大きく変動するため、目的や予算に応じたプランニングが必要です。

タクシー広告を活用する判断指標

タクシー広告を活用する判断指標について3つ解説します。

1. 決裁者層アプローチが必要な事業なら有効性が高い

単価100万円以上の商材を扱う企業やBtoBビジネスでは、決裁者にリーチできる点から効率的な投資となる可能性があります。

2. 短期的な獲得重視の施策には適さない

ECサイトの売上拡大や、アプリダウンロード数の即座な増加など、短期的なコンバージョン獲得を主目的とする場合、タクシー広告は適切な選択肢ではありません。単価1万円未満の商材の場合、費用対効果の観点から他の媒体を検討することを推奨します。

3. 自社の事業特性と目標に基づいて総合的に判断を

タクシー広告を始めるかは、自社の現状と目標を踏まえて決める必要があります。
創業間もない企業よりも、事業が安定している企業での活用が現実的です。問い合わせに対応できる営業体制が整っていることが前提となります。効果の評価は売上だけでなく、営業効率の向上や商談成約率の改善なども含めて判断することが重要です。
競合他社がまだ出稿していなければ注目を集められる可能性がありますが、既に始めている場合はより工夫された内容が必要になります。自社のマーケティング全体の中でタクシー広告がどんな役割を果たすかを明確にしてから実施を決めましょう。

 タクシー広告は戦略次第で効率的に成果を生み出せる広告手法 

タクシー広告は、富裕層・経営層・ビジネスパーソンに効果的にアプローチできる広告媒体です。特にデジタルサイネージを活用した動画広告は、高い視認性と訴求力により、従来の交通広告を上回る効果を期待できます。費用対効果を最大化するためには、ターゲット設定、配信エリア・タイミングの最適化、そして適切なクリエイティブ制作が重要な要素となります。
タクシー広告用の動画制作をご検討の際は、ぜひ当社にご相談ください。タクシー特有の視聴環境を熟知した制作チームが、効果的なクリエイティブ制作をサポートいたします。


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