【企業向け】IR動画とは?制作の流れと活用事例から学ぶ投資家への伝え方

投資家や株主との信頼関係を築くうえで、情報を「正確に伝える」だけでなく「わかりやすく伝える」ことが求められる時代になっています。決算説明や中期経営計画の発表など、文字や資料だけでは伝わりにくいメッセージを、動画によって視覚的・感情的に届ける手法が注目を集めています。
この記事では、IR動画の基本的な役割から、BtoB企業が制作・活用する際のポイント、そして実際の事例までをわかりやすく解説します。
IR動画とは?その役割と注目される背景
まずは、IR動画の基本的な定義や目的、そして活用が広がる背景について、2つ解説します。
1. IR動画の定義と目的
IR動画とは、企業の経営方針・業績・事業戦略などを投資家や株主、アナリストといったステークホルダーにわかりやすく伝えるための映像コンテンツです。従来は、資料やテキスト中心で行われていた情報開示を、動画というビジュアルメディアで可視化することで、企業の姿勢や将来ビジョンをより明確に伝えられる点が、IR動画の特徴です。IR動画には、目的や用途によって大きく以下の種類があります。
・情報開示型
決算説明会や株主総会の様子を収録した動画で、財務データや業績報告を正確に伝えることが主目的です。四半期ごとの定期的な情報開示に活用されます。
・企業理解促進型
会社紹介や事業説明、中期経営計画など、企業の全体像や将来ビジョンを伝える動画です。まだ株主でない潜在投資家への訴求や、既存株主の理解深化を目的とします。
・エンゲージメント強化型
トップメッセージやESG活動報告など、企業の姿勢や価値観を伝える動画です。数値だけでは表現できない企業文化や社会的責任への取り組みを可視化します。
2. 注目される背景には投資家・株主とのコミュニケーション変化
従来のIR活動は、アナリスト向け説明会や決算資料の配布が中心でした。しかし、リモート化・オンライン化が進む中で、誰でもアクセスできる動画形式の情報開示が一般化しつつあります。
また、個人投資家の増加や海外投資家への発信ニーズが高まったことで、「理解されやすいコンテンツ」への需要が拡大しました。動画を活用することで、距離や時間の制約を超えたコミュニケーションが可能になっています。
IR動画を活用する5つのメリット
IR動画は単なる情報伝達手段ではなく、企業への信頼構築と理解を深める戦略的なツールです。ここでは、BtoB企業がIR活動に動画を取り入れることで得られる主なメリットを4つに分けて紹介します。
1. 視覚的にわかりやすく経営情報を伝えられる
IR資料には膨大な経営情報が記載されますが、一般的にも文章量が多いほど敬遠される傾向があります。ページ数が、40ページを超えると「読むのをやめておこう」という機関投資家の意見もあります。一方、動画であれば、グラフ・図解・アニメーションを組み合わせることで、複雑な数値や事業構造を直感的に理解させる力があります。
資料では伝わりづらいトレンドや変化の要点も、動きのある映像で見せることで、投資家が短時間で全体像を把握できるようになります。
2. 経営層や事業責任者のリアルな声を発信できる
IR動画では、経営者や事業責任者が自ら経営方針の背景や意図を語るシーンを取り入れることで、文字資料だけでは伝わりにくい、熱意や表情といった情報も伝えることができます。投資家は企業の将来性を評価する際、過去の実績だけでなく「なぜその戦略を選択したのか」という経営層の考え方を重視します。経営トップが直接語ることで、数字の裏にある戦略的判断や将来ビジョンへの理解を促し、投資判断の材料として有効に機能します。
3. 個人投資家層への訴求力を高められる
東京証券取引所が運営するYouTube「東証IRムービー・スクエア」をはじめ、IR動画は誰でもアクセスできる形で一般公開されているケースが多く、まだ株主ではない潜在投資家層への情報発信ツールとして機能しています。
近年、NISA拡充などを背景に個人投資家が増加していますが、専門用語や複雑な財務データに不慣れな層も多く存在します。IR動画は、ナレーションやアニメーションを活用することで「営業利益率」「PER(株価収益率)」といった専門用語も視覚的に補足しながら説明でき、投資経験の浅い層でもストレスなく企業情報を理解できます。
株主総会に参加できなかった人や、まだ株主でないが興味がある潜在層に向けてアプローチできます。
4. オンライン上で世界に向けて情報発信できる
動画はWeb上での拡散性が高く、場所や時間を問わず多様な投資家に情報を届けられます。英語字幕や多言語対応を施すことで、海外投資家やグローバルパートナーへの発信にも活用可能です。
近年では、オンライン説明会と連動して動画を公開することで、二次利用による発信効果の最大化も進んでいます。
5. ブランドイメージ・企業の信頼度を向上させる
映像クオリティの高いIR動画は、企業のブランド価値やプレゼンテーション力そのものを高めます。数字や資料だけでなく、企業文化・社会的姿勢・ビジョンなどを包括的に伝えることで、投資家だけでなく幅広いステークホルダーからの信頼も得られます。
IR動画の主な4つの活用シーン
IR動画は、単に「決算を説明するための映像」ではありません。経営方針、事業戦略、ESG活動など、企業の姿勢を多面的に発信できるツールとして幅広い場面で活用されています。ここでは代表的な4つのシーンを紹介します。
1. 決算説明会・経営方針発表
決算説明会や経営方針発表は、IR活動の中核をなす情報開示の場です。四半期ごとの業績報告や中期経営計画の発表など、投資判断に直結する重要な情報を伝えるシーンで、IR動画が活用されています。決算資料を動画にして、ナレーションやアニメーションを活用すれば、財務諸表の読み方に不慣れな投資家でも、企業の業績動向や戦略を理解できるコンテンツになります。
また、業績数値の報告では「なぜこの数字になったのか」という経営判断の背景を、経営者自身の言葉で説明することで投資家の納得感を高め、企業戦略への理解を深めることができます。
2. 中期経営計画・ESG/サステナビリティ報告
中期経営計画やサステナビリティ活動は、企業の将来像を示す重要な発信です。IR動画では、経営陣のインタビューや取り組み映像を交えながら、テキストでは伝わりにくい理念や姿勢をストーリーとして伝えられます。特に、ESG活動など社会的価値を伴う内容は、動画を通じて視覚的・感情的に訴求することで、理解と共感を得やすくなります。
3. 株主総会・IRイベントでの上映
株主総会や投資家向けイベントでは、オープニング映像や事業紹介映像としてのIR動画が有効です。短時間で企業の全体像や重点施策を伝えられるため、会場全体の理解を揃えるイントロダクションツールとしても活用されています。
また、イベント後にWeb公開することで、来場できなかった投資家へのフォローアップにもなります。
4. コーポレートサイト・SNSでの情報発信
近年は、IR動画を自社のWebサイトやYouTubeチャンネル、X(旧Twitter)などで公開し、企業情報のオープン化を進める企業も増えています。テキスト中心のIRページに動画を加えることで、視聴者の滞在時間や理解度を高め、より強い印象を残すことができます。
IR動画制作の流れと4つのポイント
IR動画を効果的に活用するには、単に「映像を作る」だけでなく、情報設計・表現・運用までを一貫して考えることが重要です。ここでは、制作の一般的な流れと、成果を出すためのポイントを整理します。
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動画制作の全体の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 |
1. 目的・ターゲットの明確化
まず最初に行うべきは、「誰に」「何を伝えるのか」を明確にすることです。機関投資家や個人投資家、海外投資家など、ターゲットによって求める情報の深さや表現方法は異なります。目的と視聴者を定義することで、動画のトーン・尺・構成を最適化できます。
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動画制作の目的設定やゴール設計については、こちらの記事で詳しく紹介しています。 |
2. 構成設計とシナリオ作成のコツ
IR動画は、決算説明や事業紹介など論理的な情報が中心になるため、構成がわかりやすさの鍵となります。「概要 → 詳細 → 今後の展望」といったストーリーラインを意識し、数字情報やその背景、経営方針の意図が伝わるシナリオ設計を行いましょう。
また、テロップやアニメーションを効果的に入れることで、理解度をさらに高められます。
3. 撮影・アニメーション・グラフ表現など制作上の工夫
撮影では、経営層の語りを中心に据えつつ、グラフや図解をアニメーション化することで視覚的に訴求します。
また、静的なスライドではなく、動きを持たせることで「変化」や「成長」を表現できます。制作会社に依頼する場合は、どの要素を映像化したいか(例:発言・データ・ビジョン)を伝えると、完成度が上がります。
4. 公開・配信時のフォーマットと運用設計
IR動画は制作後の運用も重要です。コーポレートサイト、YouTube、株主総会用モニターなど、再生環境に合わせた形式を確認しましょう。さらに、公開後も定期的に更新やシリーズ化を行うことで、投資家との関係性を継続的に築くことができます。
IR動画の活用事例
ここでは、IR動画の活用事例を、代表的な3つの切り口に分けて紹介します。各事例を通じて、IR動画がどのように企業価値の発信に役立つのかを解説します。
事業の全体像を可視化したIR向け会社紹介動画| HPCシステムズ株式会社
研究開発からソリューション提供までの事業プロセスを、映像でわかりやすく伝えるIR向け会社紹介動画です。技術力や専門性をナレーションと実写で表現し、数値データや資料だけでは伝わりにくい「企業の強み」や「事業のつながり」を直感的に理解できる構成としています。投資家・株主に向けた企業理解促進や、IR説明会の補完資料としても活用できる事例です。
HPCシステムズ株式会社様の事例について詳しくは、こちらをご覧ください
技術革新と人材力を伝えるプロジェクト紹介動画|ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社
現場社員の挑戦や技術開発の舞台裏を描いた、ストーリー仕立てのプロジェクト紹介動画です。経営理念や技術力を「人」を通して表現することで、企業の成長ストーリーや価値観をリアルに訴求。IR活動における「企業文化」や「組織の強さ」を伝えるコンテンツとしても有効です。
ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社様の事例について詳しくは 、こちらをご覧ください。
B4Bビジョンを映像化した企業ブランディング|日商エレクトロニクス株式会社
創立50周年を機に策定した「B4B(Business for Business)」というビジョンを、映像で表現したブランディング動画です。企業の歴史と未来へのメッセージを重ね、投資家やステークホルダーに「どんな未来を目指しているのか」をわかりやすく伝える構成に。長期的な経営方針や価値観を共有するIRコミュニケーションとしても活用できる内容です。
日商エレクトロニクス株式会社様の事例について詳しくは、こちらをご覧ください。
まとめ|IR動画で企業価値をより多くの視聴者に届けられる
IR動画は、数字や資料だけでは伝わりにくい経営方針や企業姿勢を、視覚的に届けられる強力なツールです。投資家や株主との信頼関係構築において、経営者の言葉、社員の表情、事業の実態を映像で伝えることは、企業理解を深める効果があります。特に、テキスト資料では読み飛ばされがちな戦略背景や将来ビジョンも、動画であれば短時間で正確に伝達できます。そして、IR動画は「どの情報をどのように伝えるか」「どのような印象を残すか」を設計することが重要となります。経営メッセージの明確化、構成設計、撮影・編集のクオリティを総合的に設計することで、企業価値の訴求力を最大化できます。
当社では、IR動画をはじめとした各種広報・PR動画を企画から制作、運用まで一貫してサポートしています。経営メッセージをより効果的に伝えたい方、IR活動を映像で進化させたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
- トピック:
- IR動画制作
掲載日: 2025.11.26
