最終成果物と中間成果物の著作権

〜 動画制作・動画活用に役に立つ知的財産権について優しく解説 〜

動画制作による成果物は、大きく以下の2つに分けられます。

中間成果物

撮影した映像データ、イラストやCG等の素材データ、それらを編集するためにデータを統合したプロジェクトデータなど。中間成果物があれば、加工・編集・改編が可能になります。

最終成果物

全ての加工・編集が完了した最終的な映像データ。最終成果物のみでは、加工・編集・改編はできないもの。

一般的な解釈として、制作物に対する知的財産権は制作者に帰属するという理解で正しいでしょうか?上記の例で言えば、特段の定めがなければ、中間成果物、最終成果物のいずれも当社に知的財産権が帰属するという理解で正しいでしょうか?

また、弊社では最終成果物のみをお客様に納品し、中間成果物は納品しないという方針ですが、もし、お客様から「中間成果物も含め、全て納品し著作権も譲渡して欲しい」と要求された場合、これを断るための法的根拠を教えていただけますか?

私のイメージしていた中間成果物というのは、今おっしゃったソフトウェア的なものというよりは、個々の素材ですね。例えば動画コンテンツを作るにあたって、脚本を別に作りましたといったとか、あるいは途中で絵を使いましたとか、あるいは音楽を挿入しました、このために音楽を作りましたといった場合の個々の素材が中間成果物になると思うんですけれども、その場合、やはり制作者サイドに残りますので、最終製品について許諾を得たからといって、それを自由に使えるものではないということになります。

中間成果物の個々の素材から見ると、それを使ってやる行為自体は改編じゃないかもしれませんけれども、あくまでもその中間成果物について使用の許諾がない場合は、それは使えない。最終成果物について許諾があったとしても、中間成果物は使えないというふうになります。

そして最終成果物から中間成果物を取り出して、例えば動画コンテンツが映像と音楽の組み合わせだと思うんですけれども、音声部分を取り出して勝手に使うということも、例えば音楽部分については、それはある意味、中間成果物的な部分はありますけれども、それはそれについて利用許諾はないですし、あと最終成果物からみると、それはある意味、改編になりますので、自由にはできないということになります。

ほんと著作権っていろいろな権利が集まっている感じですごく難しいんですよね。先ほど支分権という話もありましたし。

それとあと著作物によっても物の扱い方が違うじゃないですか。映画と伝統的な小説、文学とか、音楽と演劇とか、そういうのが全然違うじゃないですか。扱いが違うので、すごく複雑なんですよね。しかもコンピュータープログラムも著作権で保護されてしまいますから。そこら辺は本当に一つの法律でやっていいの?という感じなんですよ。なので、著作物の性質ごとに、きっちりどういう使い方ができるかというのを理解してやっていただければいいと思っています。

知的財産権のエキスパート、渡辺光弁護士(中村合同特許法律事務所パートナー、ニューヨーク州弁護士)に、一問一答形式のインタビューで、動画を制作、または活用するときに、企業として留意すべきポイントなどを解説いただきました。財産権としての著作権、著作者人格権、著作隣接権とは?二次利用する場合、何に注意すれば良いか?など、分かっているようで、よく理解されてないことの多い知的財産権の実際について、ポイントを押さえ、優しく解説いただいてます。

渡辺 光
中村合同特許法律事務所パートナー
弁護士・弁理士

【主な取扱業務】知的財産権・不正競争防止法・独占禁止法;国際取引法;一般企業法務・商事取引・契約

【経歴】東京大学法学部卒業

【主な著書】

(英文)

  • "Liability of an Operator of Internet Shopping Mall for Distribution of Counterfeit Goods by Shops in the Mall"
    AIPPI Journal Vol. 38 No.1 by AIPPI (2013)

(日本文)

  • 「知的財産権辞典」(共著)(三省堂、2001年)
  • 「財産権判例要旨集」(共著)(新日本法規、 2003年)
  • 「特許・意匠・商標の法律相談」(共著)(学陽書房、 2003年)
  • 「最新事例に見るコンプライアンス違反の相場観知的財産権侵害」
  • BUSINESS LAW JOURNAL 2015年10月号 通巻91号(レクシスネクシス・ジャパン、2015年)

など、多数。

動画制作・動画活用に役立つ
知的財産権14のポイント

知的財産権のエキスパート、渡辺光弁護士(中村合同特許法律事務所パートナー、ニューヨーク州弁護士)に、一問一答形式のインタビューで、動画を制作、または活用するときに、企業として留意すべきポイントなどを解説いただきました。著作権とは?財産権としての著作権、著作者人格権、著作隣接権、二次利用の注意点など、分かっているようで、よく理解されてないことの多い知的財産権の実際について、ポイントを押さえ、優しく回答いただいてます。

動画制作・動画活用に役立つ<br>知的財産権14のポイント

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