YouTubeやSNSへ動画を公開する時の注意点
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YouTubeやSNSなど、動画を投稿できるインターネットサービスを使うことで、誰でも簡単に動画を公開できるようになりました。インターネットサービスを使って動画を公開する場合、企業として留意すべきポイントを教えてください。
あまり慣れない言葉としては公衆送信権というところとか、送信可能化権という言葉がございまして、要するに公衆に送信するわけですから、イメージとしてはインターネット上にアップするという行為が公衆送信権になりますけれども、こういった行為も当然著作権者の許諾がなければ違法になりますので、注意していただければと思います。
それから二次的利用という概念なんですけれども、これは法律には著作権法上、二次的著作物という概念がございますけれどもこれとは違う権利で、実務上、業界で使われている二次利用権というのとは違う概念だということはご理解いただきたいと思います。
著作権法上の二次的著作物というものは、もともとオリジナルの著作物を改編したものを言います。先ほどから例を出していますけれども、小説から脚本を作る行為、これが改編に当たりまして、その改編によってできた脚本というものは、小説の二次的著作物に当たります。それから脚本を演じて演劇を上映する、あるいは映画を作るというと、脚本に対して、映画とか上映された劇、それ自体が二次的著作物になります。
あるいは曲なんかもそうですけれども、メロディーラインだけがあります、あるいは詩だけがあります。それを合わせて編曲して曲にしましたというと、できあがった曲、編曲された後のものはまた二次的著作物になるという関係があります。
それに対して業界で使われている二次利用権というものは、必ずしもそういったものではなくて、例えば映画を作る場合、当初の利用は映画館における上映だけであるとかいった時に、それは一時利用といいまして、その上映が終わった後にどう使いましょうかといった時に、例えばテレビ放送したりとか、DVDを出したりとか、あるいはインターネット上で放映したりということがありますけれども、それを二次利用としているわけです。
あるいは商品化、キャラクターグッズを作ったりという商品化というものを二次利用と言われておりますけれども、これは今整理しました二次利用というのは二次的著作物という概念で違ったものになります。その二次利用における個々のものについては、それはオリジナルのものであるのか、それとも著作権法上の二次的著作物なのか、それは個々によって違います。
例えば上映された映画をDVDに出して売るとか、放送するという時はそのものを使っておりますので、これは二次的著作物に当たりません。ところがそれをキャラクターを切りだして商品化するという話になると、これは改編行為が介在するでしょうから、改編後のものは二次的著作物になるという整理ができます。
当初予定していなかった利用形態になりますと、別の利用形態が含まれているということになりますので、あるいは期間的な制限もあったりするかもしれませんので、その期間を越えた利用になる可能性があります。従って当初の契約でどこまで含まれているのか。例えば上映は自由ですよと書いてあれば、株主総会で上映することはいつまでたっても自由であるでしょうけれども、当時の契約の中にアップロードは駄目ですよ、というかアップロードについて何も書いていなかった。要するにアップロードというのは公衆送信、ダウンロードして見てもらいますので、公衆送信権ということになりますが、そういったものについて書いていないとすると、それは許諾を得なければできないという形になります。
知的財産権のエキスパート、渡辺光弁護士(中村合同特許法律事務所パートナー、ニューヨーク州弁護士)に、一問一答形式のインタビューで、動画を制作、または活用するときに、企業として留意すべきポイントなどを解説いただきました。財産権としての著作権、著作者人格権、著作隣接権とは?二次利用する場合、何に注意すれば良いか?など、分かっているようで、よく理解されてないことの多い知的財産権の実際について、ポイントを押さえ、優しく解説いただいてます。
渡辺 光
中村合同特許法律事務所パートナー
弁護士・弁理士
【主な取扱業務】知的財産権・不正競争防止法・独占禁止法;国際取引法;一般企業法務・商事取引・契約
【経歴】東京大学法学部卒業
【主な著書】
(英文)
- "Liability of an Operator of Internet Shopping Mall for Distribution of Counterfeit Goods by Shops in the Mall"
AIPPI Journal Vol. 38 No.1 by AIPPI (2013)
(日本文)
- 「知的財産権辞典」(共著)(三省堂、2001年)
- 「財産権判例要旨集」(共著)(新日本法規、 2003年)
- 「特許・意匠・商標の法律相談」(共著)(学陽書房、 2003年)
- 「最新事例に見るコンプライアンス違反の相場観知的財産権侵害」
- BUSINESS LAW JOURNAL 2015年10月号 通巻91号(レクシスネクシス・ジャパン、2015年)
など、多数。
動画制作・動画活用に役立つ
知的財産権14のポイント
知的財産権のエキスパート、渡辺光弁護士(中村合同特許法律事務所パートナー、ニューヨーク州弁護士)に、一問一答形式のインタビューで、動画を制作、または活用するときに、企業として留意すべきポイントなどを解説いただきました。著作権とは?財産権としての著作権、著作者人格権、著作隣接権、二次利用の注意点など、分かっているようで、よく理解されてないことの多い知的財産権の実際について、ポイントを押さえ、優しく回答いただいてます。
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